10 私の孤独
柱の古時計が二つ鳴った。 バネが壊れているので、 ボーンボーンではなく、 ジャイーンジャイーンと不思議な音をたてる。 その余韻が消えないうちに、 秋の日差しを身... >続きを読む
09 ミシシッピ
「高校の時、ホームステイしていて、行ったことあるんですよ」。 ヒロミさんはコーヒーを啜りながら言った。 行ったというのは、アメリカミズーリ州、 ミシシッピ川沿... >続きを読む
08 永遠の十七歳
アシダさんから、 留守番電話が入っていた。 「来週の月曜日、昔の仲間と会うので...、 その前にお店に寄らせて...もらいます」。 アシダさんは、銚子から続く九... >続きを読む
07 浜日傘
駅前の舗道で、 油蝉が仰向けでころがっていた。 6本の脚をモゾモゾさせている。 もう飛ぶ力も失せてしまったのだろう。 学生たちが夏休みに入ってしまうと、 この町... >続きを読む
06 河
梅雨の中休みか、久しぶりの青い空。 店の前に黄色いドカティが止まった。 バイクを降り、ヘルメットを取り、店の中に入ってきた。 皮ジャンパーを脱ぐと、オレンジ色の... >続きを読む
05 月の呼吸
その妖しい店は、 「ムーンライト・ブックストア」の 対極といえるようなところにある。 狭いこの町でも、歩いたら10分以上はかかるだろう。 2階建て住居付き店舗の... >続きを読む
04 ラベンダー
朝。 とある小さな公園。 早起きの鳥が、梢でちっちっちと騒ぎ始めている。 この町で初めて、朝を迎えてしまった。 「飲みましょうよ~」。 Tシャツにジーンズのマッ... >続きを読む
03. 猫の恋
駅に向かう道を、 若い女の子と連れだって歩いている。 日はもうとっぷりと暮れている。 仕事帰りは、表通りに用事がない限り、 裏通りを使うことにしている。 暗闇の... >続きを読む
02. ウクレレ日和
「曲ができたんで、聞いてほしくて...」 店の椅子に腰を下ろすと、青年は言った。 この間懇意してもらっている お店「呼Q」の7周年パーティがあった。 青年とは、... >続きを読む
01. 鮭とば
この街には、坂とは言えないよう高低差がいくつかある。 ゴルフでいえば、アンジュレーションというんだろうか、 駅前から伸びるゆりの木が並ぶ大通りにも、 一つ瘤があ... >続きを読む